▲専門家の著書から

世界的 がん の研究者 中村 祐輔(元東大教授 現シカゴ大学教授)
これでいいのか、日本のがん医療(新潮社)

中村祐輔 シカゴ大教授 著「これでいいのか、日本のがん医療」新潮社

中村1.新しい薬を提供することは、たとえ研究段階の薬でも、たとえ治癒する可能性が確実でなくても、患者さんにとっては漆黒の闇で生きることに比べれば、かすかに灯りがともる希望の中で生きることにつながる、と考え続けてきました。
しかし、それはその薬を患者さんに届ける術があって初めていえることです。
目の前に見えるのにちかむことができない、そんなもどかしい状況が、患者さんや家族にとって本当に役に立つのか?  P220

中村2.ペプチドワクチン療法は、研究を始めた当初「お前まで、キワモノに手を染めるのか」と言われ続けました。 p207

中村3.たとえ少数であっても、個々の患者さんから学び取ることは沢山あります。それをおろそかにして、「どの人にできるがんもみな同じ」という古い概念で、統計だけが科学と決めつける臨床腫瘍医には何かが欠けているように思います。 p207

中村4.新薬がなければ、死をじっと待つだけになる患者さんも少なくない。希少疾患ガからといって切り捨てた科学技術振興機構の評価委員は、患者さんたちの追い詰められた状況に思いをはせたことがあるのでしょうか。 p183

中村5.動物実験では、八匹のマウスすべてが治ったデータを踏まえて、次は人間への効果を確認するために臨床試験、いわゆる治験という段階に進むはずでした。しかし、そのための補助金が「有効性が証明されていない」という理由で断られてしまったのは、考えてみれば、悪い冗談のような話です。そもそも有効性が証明されているのであったら、治験などやる必要がない。まったく不条理な話です。 p176

中村6.がんセンターで、もう一つ気になっていたのは、標準治療に見捨てられ死を待つばかりとなった患者さんの気持ちを大切に扱おうという意識が薄いことです。以前に比べれば、がんの治癒率は上がってきていますが、それでも現在、国内では、一日約千人のがん患者が命を落としています。
標準治療のマニュワルが尽きて亡くなるまでの期間は、三ヶ月、六ヶ月、あるいは一年以上の人もいます。その間、患者さんはどんな心境で日々を過ごしているのか、がん治療に携わる者としてそれを慮るのは当然だと思いますが、がんセンターが中心となって作り上げた標準治療だけでは、多くの患者さんがつらい思いをして残された日々を送っていることに思いをはせる必要があります。・・・・・・単に、マニュワルに従って流れ作業のように、患者さんを処理するのは医療とは言えません。マニュワルのページが白紙になった瞬間に、「はい、お終いです」でいいのでしょうか。  p79~80

 中村7.ひとたび進行がんのような重篤な病気にかかると状況は一変します。標準治療で対処できる段階を超えると、日本の医療の限界を思い知ることになります。外科手術、放射線、抗がん剤という一通りの治療が尽きれば、病院から放り出され、がん難民となり、後は死を待つばかりというのが日本の現実です。 p95

中村8.実際に薬が効くといっても、がんが治るわけではなく、大半は一時的に小さくなる程度のことですが、そんな効果でさえ得られるのは、抗がん剤を投与した患者さんの二割から三割に過ぎません。つまり、七割から八割の患者さんはまったく効果なく薬の副作用に苦しまなければならないわけです。  p78

中村9.医師は標準治療のマニュワル通り「手術、放射線、抗がん剤」という3つの治療を続けます。
マニュワルに載っている治療をすべて施しても治らない時には、最期に「残念ながら、もう治療法はありません。余命はわずかです」と告げます。
医師から最終宣告を受けた患者さんは、病院から見捨てられ、がん難民となります。
その後は、残り少ない余生を静かに過ごすと言えば聞こえがよいが、患者にはひとかけらの希望も与えられず、絶望に打ちひしがれて死を待つばかりというのが実情です。 p75

 

 

 

 

 

市民のためのがん治療の会
がん治療の今③
118p がん治療の経過において苦しみながら生存期間が延長しても意味がない、QOLが重要である言う見地から、最近ではQOLを加味した生存期間であるQALY(quality adjusted life year)という考えが欧米を中心に提唱されています。がん治療に対する考え方が大きく転換期を迎えていることは事実です。(奥野清隆 近大医学部教授 付属病院 副院長)
~早くすすめよ!!(ガン・ニンニク応研 久保田コメント)~

がん治療の今③
116p ペプチドワクチン+経口抗がん剤は少し変った経過をたどることが多い。画像診断上、縮小することが少ない(もちろん強力な抗がん剤のように退縮がみられることもありますが頻度は少ない)「余り効いていないなあ。がんは小さくなりませんね。」と患者さんとともにため息をつきながら、その他の療法はないのでがんペプチドワクチンを打ち続けていて、ふと気が付けば「え、もう2年たったね」とか「3年経過したね」と言うことが多々ある

他の治療薬で2年以上なったと大騒ぎすることを、難なくクリアすることが多い。しかし、これは現在の抗がん剤の基準に従えば不変(no change)であり、効果はないということになる。 もっとも抗がん剤治療を行っている化学療法の専門家にいわせれば、これらの結果は「もともとゆっくり大きくなる大腸がんだったのだろ」とか「化学療法は全世界で何万人の患者の治療データだけどペプチドワクチンなんてせいぜい数十例じゃないか。たまたま長生きした例があるかもしれないけれど科学的証拠に欠ける」ということになります。(奥野清隆 近大医学部教授 付属病院 副院長)
~いわゆる専門家の自己行為の正当化と、新しいことを既成の概念で無視し、保守的思考が浮き彫り・・・~(ガン・ニンニク応研 久保田コメント)~